鬼の御伽 の感想

読書

どうもミトコンドリオンです。

書籍情報

鬼の御伽

板倉俊之(いたくら としゆき)

1978年1月30日生まれ。埼玉県富士見市出身。吉本興業所属。NSC東京校4期生。

98年に堤下敦とお笑いコンビ「インパルス」を結成。すべてのコントの作・演出を担当する。

主な著書に『トリガー』や『蟻地獄』、『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』、『月の炎』などがある。

あらすじと感想

なんとなく、小説を読みたい気分だったので、探していたところ、タイトルに「鬼」とあったので、興味が惹かれました。しかも、お笑いコンビ「インパルス」の板倉さんが書いたというので、さらに興味が沸き、読んでみました。「トリガー」は漫画にもなっていることは知っていましたが、読んだことがなく、いつか読もうと思っており、そのままだったのですが、それより先に、この「鬼の御伽」を読みことになってしまいました。

内容は鬼が登場する物語の代表である「桃太郎」の語られていない部分を板倉さんの解釈で補足した「パーフェクト太郎」と「泣いた赤鬼」をまったく違うアプローチで泣かせる「新訳 泣いた赤鬼」です。この物語は新太郎という男の子におじいさんとお父さんがそれぞれ聞かせる形で進んでいきます。

パーフェクト太郎

「パーフェクト太郎」はなぜお供がイヌ、サル、キジなのか。どうして桃太郎は強いのか、鬼は何なのかといった部分をきちんと説明がつくようにした物語になります。

読んだ感想としては、ちゃんと謎の部分が説明されており、ストーリー全体がよく分かりました。鬼の正体が次第にわかってくる部分は、なんとなく進撃の巨人っぽいなと思ってしまいます。戦いの描写も頭の中で想像しやすく、イヌ、サル、キジがそれぞれの能力を活かして戦っているところはワクワクできます。また、桃太郎と鬼の対決も白熱しています。戦いの描写が多いので、個人的にはアニメのドラゴンボールの戦闘シーンのような光景が頭の中を駆け巡っていました。世代なので、土埃や岩にぶつかるところなど、まさにドラゴンボールになっていました。板倉さんもアクションものはいろいろと書いていらっしゃるので、同じようなシーンが頭の中にあるのではないかと思います。

個人的に面白かったのは、お供がなぜイヌ、サル、キジなのかが説明される部分です。また、都合よく、この3匹が桃太郎と出会うというのも不思議ですし、きび団子のみで命を賭けるのも不思議ですが、その部分もしっかり説明されています。

また、鬼の正体も明らかになるのですが、この部分は少し切ない部分があります。本の帯にも記載されていますが、「人間の業、鬼の宿命」を知らされることになります。

様々な伏線が回収されていくので、どんどん読み進められますが、勘の良い人は先が分かってしまうかもしれません。

桃太郎の話の筋はほとんどの方が知っていると思いますが、このような疑問を持った方は少ないのではないでしょうか。小さい子はよくなぜ?どうして?と疑問を持ちます。しかし、初めて桃太郎を聞かせてもらったとき、そのような疑問は持ったのでしょうか。おそらく持たなかったことでしょう。小さい時は、正義のヒーローである桃太郎が悪い鬼をやっつけるという勧善懲悪の物語の方にばかり気を取られ、なぜ桃なのか?どうしてお供が動物なのか?という点は気にならなかったからだと思います。また、小学生、中学生、高校生になってからも思い出せば疑問に思う部分はあるかもしれませんが、その歳になって、桃太郎の疑問について調べたり、友達と話すなんてことは恥ずかしくてあまりしないことでしょう。単純な勧善懲悪の物語より、もっと複雑な人間模様、描写の物語を知っていますし、好むようになっているからです。さらに大人になると桃太郎の話を取り上げることはほぼ皆無になってしまいます。そして、子供を持ってから、自分の子供に読み聞かせるとき、子供からなぜ?どうして?と質問されても特に考える機会がなかったため、「桃太郎はこういうお話だから」という解釈になってしまいます。このサイクルが生まれるため、桃太郎はなぜか強く、なぜか動物を従えて、鬼をやっつける人物になってしまうのです。

そこで、この「パーフェクト太郎」ではなぜ?どうして?を完璧に補完した物語となっています。この補完はあくまで板倉さんの補完なので、もしかしたら皆さんも自分のオリジナルパーフェクト太郎を考えても良いのはないでしょうか。そのお話を仲間内で話すのも、桃太郎をより深く、重厚な物語にできるきっかけになることでしょう。

新訳 泣いた赤鬼

「新訳 泣いた赤鬼」は全く違うアプローチで赤鬼を泣かせるとなっていましたが、冒頭から何かファンタジーバトル漫画っぽいシーンから始まりました。こちらの話は最初に書かれているように、私の泣いた赤鬼とは本当に全く別の物語になっているので、もしかしたら泣いた赤鬼を知らない方でも全然楽しむことができると思います。

こちらも主人公の半郎が鬼に変身し、鬼と戦い、村を守っている世界から始まるのですが、なんとなく進撃の巨人を彷彿とさせます。また、戦いの描写も想像しやすく、疾走感があり、どんでん返しもあるので、続きが気になってどんどん読めてしまいます。伏線も張られており、それを回収していくところはパーフェクト太郎と同じなのですが、こちらはもっと「人間の業、鬼の宿命」が色濃くなっています。ちょうど最近Zガンダムを見ていたので、ガンダムでよくある、人間の身勝手さと、どちらが正義か悪かは分からない部分、最後はハッピーエンドなのか、どうなのかと思わせるような切ないエンディングといった感じで、今っぽいなと思いました。終盤の半郎と雷閃のやり取りはバトル漫画が好きな人にはたまらない描写でしょう。

この2作品は世界観がつながっており、これを聞いている新太郎がいる世界もつながっているという仕組みです。夏休みにおじいさんの丸太の家に遊びに来ている設定なので、田舎に住んでいるんだなと簡単に思っていたのですが、終盤で半郎が立てたのが丸太の家で2階建てとなっており、おじいさんの家と同じだと気づいた時、やっぱりそうか…。と思いました。このちょっとしたところでも組み込んでくるあたりがニヤニヤしてしまうポイントで、探してみても面白いのではないでしょうか。

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