どうもミトコンドリオン。
書籍情報
行成 薫(ゆきなり かおる)
1979年生まれ。宮城県仙台市出身。東北学院大学教養学部卒業。2012年「名も無き世界のエンドロール」(「マチルダ」改題)で第25回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著書に「バイバイ・バディ」「ヒーローの選択」「僕らだって扉くらい開けられる」「廃園日和」「ストロング・スタイル」「怪盗インビジブル」「本日のメニューは。」「スパイの妻」がある。
「狙うのは、脳天(ヘッド)か、心臓(バイタル)。必ず、一発で仕留めろ」
殺し屋(エージェント)見習いとして生きることになった「僕」。平凡な人生を送っていたが、家族を皆殺しにされ、その罪を着せられそうになったところを2人の殺し屋「天使」と「悪魔」に拾われたのだ。淡々と殺人案件(キルタスク)をこなしていく2人の下、狙撃手として技能を磨く僕には、偶然ある真実を知る。殺された家族に残された、犯人の刻印。それは「天使」がターゲットに残す図形と全く同じものだった。
究極まで人生「詰んだ」僕に、殺し屋は問いかける
「生きるか死ぬか、どっちがいい?」
『名も無き世界のエンドロール』の著者が描く、疾走エンターテイメント
感想
冒頭は顔に包帯を巻いた記憶のない男の夢から始まります。
主人公は家族を殺した罪を着せられた理由で表の世界では生きることができなくなり、生きるためにはKILLTASK(殺し案件)を遂行するしかない裏世界の住人となりました。
そこで出会った天使(伊野尾)と悪魔(辰巳)とともに殺し屋見習いとしてKILL TASKに携わっていきます。
疾走エンターテイメントということもありストーリーが次々に進むので、どんどん先が汁たくなります。設定が漫画やドラマ、映画等になりやすいと思いました。ただし、次々に話が進むので、主人公の心理は殺人はいけないが生きていくためには「しかたない」という結論でKILLTASKに向かうので、入り込みにくかったです。
また、ストーリーはそれぞれの登場人物視点になったり、時系列がバラバラだったりします。そこで登場人物たちが複雑に絡んでいきます。あー、あの時の人はこの人だったのかなど気づきがあります。徐々に分かる秘密や家族が殺された理由、天使と悪魔との関係、なぜ主人公がこの状況になったのかなど、徐々に分かっていきます。悪く言えば、うまくいきすぎる感が強いです。
もしかすると察しの良い方は先が読めてしまうかもしれませんが…。しかも、映像化するとネタバレになる部分もあるので、難しいかもしれません。残念。
読んでいて、KILLTASKを実行しているところはステルス系ゲーム、ミッション系のアクションゲームのようなシーンが頭に浮かびました。
ターゲットの後ろから忍び込んだり、建物から逃げるときだったり、狙撃手としてターゲットを狙うときなど、操作できたら面白いと思いました。でも、ストーリーありきのため、行き過ぎた行動ができないので、完全なゲーム化は無理ですが。
久々に物語を読みましたが、頭の中で人物が動いたり、風景が浮かぶので、面白かったです。たまには読んで想像力を使うのも良いと思いました。
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