ルビンの壺が割れた

読書

どうもミトコンドリオンです。

久しぶりの投稿になります。

今回も最近読んだ本についてご紹介しようと思います。

今回はこちら

「ルビンの壺が割れた」

です。

発表されたのが2017年で、たしかアメトーークの読書芸人で紹介されており、そのときに気になってはいたのですが、読むことはありませんでした。

そしてこの前、本棚で見つけたため、アメトーークでの記憶が甦り、手にとってしまいました。

記憶では、どんでん返しがあるということだったので(表紙にも衝撃のラストみたいなことが書いてあります)、詳しくは調べることはせず、読み進めました。

書籍情報

ルビンの壺

著者

宿野かほる

ざっくり内容

文体はFacebookのメッセージのやり取りとなります。

ある男性が昔の恋人をfacebookで見かけたため、懐かしく思い、メッセージを送ってしまったようです。

そこから2人のやり取りが続きます。

2人のある出来事から、それぞれの過去について、お互いにその時の思いを少しずつ綴っていきます。

そして、衝撃のラストへと向かっていきます。

個人的な感想(少しネタバレ含みます)

どんな内容の話なのか全然調べずに読んだため、最初の男性からメッセージと、それから2人のやり取りを読んでいくと、ただのラブストーリーなのかと思ってしまいました。

それぞれがある事情で別れることになり、それぞれの人生を歩んでいる。

私は当初はこれからどんどん交流を進めて、また2人が再開するような展開なのかと予想していました。

しかし、次第に過去のことを綴るようになると、誰かが仕組んだことなのか、もしくは裏があるのか、など、少しミステリーが潜んでいるような感覚になりました。

さらに、だんだん男性の方が過去の自分の心境を綴り出します。

この時は夏目漱石の「こころ」に登場する先生の遺書のような感じに私は受け取りました。

男性はその時の心境、どうしてそのような行動を取ったのかなど、Facebookのメッセージで他人に送るような内容には思えないのですが、長文のメッセージを送ります。

この辺からラブストーリー要素はないと確信しました。

だって、内容に希望が見出せません。

そして、女性の方から核心をつかれ、最後のメッセージが送信されます。

著者はこの1文のためにページを跨がせるので、この1文が言いたかっただけに、この作品を書いたのか、と思わせるようです。

ちなみに

作品のタイトルである「ルビンの壺が割れた」とは劇中に登場する演劇の題目になります。

また、「ルビンの壺」とは見方によって、壺に見えるし、向かい合った2人の顔にも見えるといった騙し絵の1つです。皆さんも一度は目にしたことがあると思います。

白い部分に注目するのか、黒い部分に注目するのかで見え方が異なります。

この作品も私にとってはどんどん見え方が変わりました。

当初はラブストーリーかと思っていたら、何かミステリーのように思え、最後には全然違うジャンルの手記になっていました。

また、始めから読み返すと、どのような思惑でメッセージを送っていたかと想像するとより見え方が変わってくると思います。

メッセージのやり取りなため、かたい文体でもないため、読みやすいため、1日で読み終えてしまいます。

読書が苦手な方でも、スラスラと読めると思うので、気になったら手に取ってみでください。

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