神の悪手 の感想

読書

どうもミトコンドリオンです。

タイトルに惹かれて読んでみました。

帯を見た時、あの羽生善治九段が推薦していると言うことで、??なんの話なんだろうと思っていましたが、よく帯を読むと将棋ミステリーのようです。

将棋ミステリーというと、思い浮かんだのは古畑任三郎の「汚れた王将」が思い浮かびましたが、本書はどんな内容なのだろうと期待していました。

また、本書は短編集と言うことで5つの話が収録されています。

それでは少しだけご紹介しようと思います。

書籍情報

「神の悪手」

著者

芦沢 央(あしざわ よう)

1984(昭和59)年、東京生れ。千葉大学文学部卒業。2012(平成24)年、「罪の余白」で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。2016年刊『許されようとは思いません』が第38回吉川英治文学新人賞候補に、2018年刊『火のないところに煙は』が第32回山本周五郎賞候補となり、第7回静岡書店大賞を受賞、さらに、第16回本屋大賞にノミネートされる。2020年刊『汚れた手をそこで拭かない』が第164回直木賞候補、第42回吉川英治文学新人賞候補となった。ほかの著書に『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』などがある。

ざっくり内容

弱い者

被災地の訪問で天才少年と対戦しているプロ棋士

人はいつも何かと戦っていると気付かされる

棋士は対戦しながらなぜかミスをする少年の内部を考えながら

少年はある悩みと闘いながらあえてミスを犯していた

神の悪手

偶然知ってしまった対戦相手の棋譜情報と自分の状況の葛藤に苦しむ男

自分のアリバイが崩れてしまうと思いながらも良い手が思いついてしまい、勝負と取るのか、保身を取るのか悩む

対戦に集中するのではなく、自分に降りかかるであろう別ごとについても考えている

ミイラ

ある詰将棋作品の少年に隠された過去を紐解く詰将棋作家

盤上の糸

事故による障害を乗り越えてタイトル戦に挑む棋士

恩返し

タイトル戦の検分でなぜ自分のコマが選ばれなかった駒師

まとめ

将棋を題材にしていますが、特に将棋に詳しくなくても内容がわかるため、どなたでも難なく読めると思います。

また、将棋は寡黙に取り組むため、ほとんどが主人公の心の声であり、どのように考えているのか、どのくらい先まで読んでいるのかがうまく表現されていると思いました。

相手のちょっとした変化を読み取ったり、自分の内面についても考えることに特化しているため、いくつものことを同時進行で考えたり、駒の並びに隠された謎を解き明かしたり…。

また、駒、盤上を見るだけで今の状況がどうなのか、「美しい」や「なんか気持ちが悪い」等、第六感のような共感覚のようなものが備わっているような感じもしました。これは本書のある主人公のことですが、空間に無数の糸がつながっており、それがどのようにつながっているのか、絡まっているのかで戦局が読めると言うので、これも共感覚の一部なのかと思いました。

実際に、たまに将棋の対戦をテレビで見ていると、どちらが優勢で、どれが悪手で、どれが逆転でとコメントされていますが、相当頭の回転が速く、相当先まで読めているのだなと思っていましたが、もしかしたら、盤面を見て、空気のような色のような何かの流れが見えているのかもと思ってしまいました。

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