教えるのって難しい「仕事を教えることになったら読む本」

読書

どうもミトコンドリオンです。

新年度が始まり、新入社員は研修が終わり、各部署に配属になった頃でしょうか。

そして、新人の教育担当になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私も、新人を教える時にはどうして良いか悩みました。「こんな私で良いのだろうか」「この教え方で良いのだろうか」「私のやり方でわかっているのだろうか」「本当に分かってくれたのだろうか」

私自身が一人前になった感じがしていないため、そんな私が教える立場で良いのか分からず、教え方も特に考えずに教えてしまっていました。

運良く、現在ではその後輩は大きな問題もなく仕事をしているので安心していますが、いまだに最適な教え方がわかっていませんでした。

そこで本書を見つけ、今一度教え方について基礎から学ぼうと思いました。

著者

濱田秀彦(はまだ ひでひこ)

株式会社ヒューマンテック代表取締役

ざっくり言うと

教える時は以下の3つのことを伝えます。知識技術意識です。

知識はティーチングで、技術はトレーニングで、意識はコーチングで伝えます。

それではそれぞれを紹介していきましょう。

ティーチング

手順は①動機付け、②説明、③効果測定です。

動機付け

なぜこの知識を身につけなければならないのかを伝える。

自社製品についての知識を例にすると、お客様に説明するために必要だから等。

また、パターンとしてメリット獲得アプローチとデメリット回避アプローチがあります。前者は知っていると得をするから、後者は知らないと損をするから、といった感じのアプローチです。

説明

これが知識のメインになります。知識を説明するのですが、そこにはコツがあり、順序としては全体像を説明してから各部分を説明する。結論を説明してから理由を説明すると良いとされています。

全体像から話す場合は「ひとことで言うと」や「ポイントは◯つある」とかを用いると良いでしょう。

結論から話す場合は「一番大切なことは…」から始めると良いでしょう。

効果測定

知識を教えたとしても身についていなければ意味がありません。その場合に記憶に残ったのか、理解しているのかを判断することになります。簡単に言うと、問題を出してみるんです。

ここが難しいのですが、問題の難易度が簡単すぎず、難しすぎずのレベルにすることです。また、答えられない場合は、すぐに答えを教えるのではなく、段階的にヒントを出して自ら答えが出るように導くことが大切です。

トレーニング

手順は①動機付け、②やってみせ、③説いて聞かせて、④させてみて、⑤ほめて、⑥見届ける

トレーニングは段階が多くあります。それでは一つ一つみていきましょう。

動機付け

こちらはティーチングと同じです。この技術が必要な意味を知ってもらいます。

やってみせる

これは動作、作業を一通り見せることになります。教える相手にゴールを示すのです。これはティーチングではなかった部分になります。

ただし、この時、一旦止まったりしないことです。実際のスピードでどのような流れなのかを見せるのが重要なので、いつも通りにしてください。

説いて聞かせる

ここでやっと説明しながらになります。個々の動作、作業をどのようにするのかを説明していきます。この時にコマ送りのように分けておくと、この後の「させてみる」でも有効になります。

させてみる

実際に教える相手に作業、動作を行ってもらいます。

ただし、全てを一気に実施させるのではなく、先程の「説いて聞かせる」で分けたスモールステップで順に行った方が効率的です。

また、スモールステップで分けることで、指摘してやり直す部分がわかりやすくなります。

ほめる

実際にさせてみるだけではいけないので、フィードバックが必要です。この時に「ほめる」と言うことを活用します。

教えていると、ダメなところばかりに目がいってしまいますが、それではいけません。良いところも見つけて、ほめていきましょう。人間は承認欲求があるため、指摘され続けるとやる気を無くしてしまいます。必ず指摘する部分よりほめる部分の方が多くなるように。また、フィードバックも短く済むように心がけましょう。

ここでちょっとしたコツなのですが、指摘の際は否定的な表現ではなく、肯定的な表現にしてください。本書では名刺の渡し方を例に挙げていますが、名刺を差し出す場合、相手に近すぎないように差し出す(否定的な表現)ではなく、もう20cm手前に差し出す(肯定的な表現)を用いるといったことを紹介しています。

見届ける

これは技術を教えたからといってそれで終わりではありません。その後も的確に実践されているかを見守ることが必要です。一度完成していても時間が経てば、疎かになったり、慣れて崩れたりしてしまいます。そうならないためにも、師匠のように見守っていくことです。

コーチング

どんなに知識や技術を教えたところで、教えられた本人の意識が低ければ、身につくことはありません。その意識を高めるためにコーチングがあります。

ただ、コーチングはティーチングやトレーニングのように教える側から伝えるのではなく、教えられる側から引き出すことを求められます。

ここでは少しカウンセリングのようになりますが、傾聴と質問をうまく駆使していきます。

傾聴

コーチングは相手から答えを引き出すため、教える側は聞き役に徹することが必要です。相手が話しやすいような環境を作り、相槌などで共感することで答えを引き出します。

質問

なぜできないのか、なぜ動き出せないのか、教えられる相手本人でもうまく表現できない、わかっていない場合があります。そんな時に質問で少しずつ明らかにしていくのです。

効果的に質問として5W2Hが挙げられます。英語の授業みたいですが…

When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰)、What(何)、Why(なぜ)、How(どのように)、How much またはHow many(どのくらい)

ただ、これらを駆使して、「現状把握→課題の設定→原因の推定→解決策の立案→解決策の具体化」へ導き出さなくてはなりません。具体例については本書で紹介されています。

その他

本書ではこの他にリモートワーク環境での教え方、資料の作り方も紹介されています。

私の場合はリモートワークはほぼありえない環境のため、あまり参考にはなりませんでしたが、資料作りは機会が多いため、参考になりました。

まとめ

教えることに対して、あまり勉強する機会がなかったため、自分が教えてもらったことをそのまま伝えたら良いと考えていましたが、果たしてそれが最適なのかずっと不安でした。一応、自分が教えてもらって分かりやすかった、分かりにくかった点は改善して後輩に教えていましたが、それでも後輩は理解してくれているのかどうかわかっていませんでした。

本書を読んで改めて「教える」について知ることができ、私自身が自然とできていたこと、できていなかったことに気づくことができたため、参考にしたいと思います。

現在、新人を教えている後輩がいるため、どのように教えているのか、よく観察していきたいと思います。本書でも教える人、教えられる人にはタイプがあるため、うまく特性をつかんで効率よく教える方法を紹介しています。

まずは自分を知って、相手を知ることからですので、よくコミュニケーションをとって、相互にとって良い環境を作ることから始めましょう。

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